人々は長時間をオフィスで過ごすことが多く、その環境によるストレスや疲労が増える傾向にあります。しかし、心理学的な研究によると、植物をオフィスに導入することで、ストレス緩和やリラクゼーションの促進に役立つ効果があることが分かっています。近年、職場の環境改善において、植物の存在が注目されています。
弊社では、職場に植物を飾っています。これにより、働く環境が快適になり、従業員のストレスを軽減できると考えています。また、弊社の従業員によると、少人数だとどうしてもオフィスが狭くなってしまいますが、植物があるとそういったオフィスの閉塞感が軽減し、さらに仕事の合間のいい気分転換にもなり、「癒せる」の効果があるとのことです。
したがって、以下の記事では、職場で植物を育てることによる心理学的なメリットについて探求し、その効果を具体的な事例と共に紹介していきます。お客様の職場環境に植物を取り入れることで、心地よく仕事に取り組めるかもしれません。是非、ご一読ください。
コンテンツ
心理学的なメリット
職場で植物を置くのは、ビジュアルなアクセントで職場の雰囲気やデザインを向上できることだけではなく、心理学的なメリット もあります。
研究によると、「人間と自然とのふれあいがもたらす恩恵には、ストレスの軽減、癒し、注意力の回復、知覚・表現能力の発達、認知力、想像力、社会性の発達などがある」。[3]
**ストレス軽減とリラクゼーション向上**
自然の要素を取り入れることで、心がリラックスし、ストレスや疲れが軽減されることが示されています。
これまでの実験的研究によると、植物の効果は、ストレスレベルが比較的高い人に効果が大きいことが示唆されています。[2]
研究によると:
「性別、年齢、その他の職場要因をコントロールした場合、より多くの植物を持つこと、より多くの植物を見ることは、より低いストレス、より少ない病気休暇、より高い生産性を伴っていました。」[2]
「自然に接することで、ネガティブな気分状態を軽減し、ポジティブな感情を高めることができます。その結果、高い要求に結びついたストレスフルな状況に対処するのに役立ち、社会的な認識を高めることで、より積極的に他者と関わり、対立を前向きに解決できるようになる。さらに、自然は精神的疲労の回復に寄与し、注意力に良い影響を与え、仕事の展開方法をコントロールするための資源を増やし、要求の高い状況への対処に役立ちます。さらに、自然に触れることは心を落ち着かせる効果があり、ストレス反応時の精神生理学的な活性化を抑え、変化によって引き起こされる環境的なストレス要因の影響から個人を保護するのに役立ちます。」[3]
また、2010年に行われたシドニー大学の研究では、ビルに住んでいる人々のネガティブな気分に植物の存在がどのような影響を及ぼすのか調査されました。この研究は、室内植物の潜在的な効果を評価するために、国際的に検証された心理学的な尺度を使用して最初の実証的な研究でした。植物の存在は、労働者の生産性と正の相関があり、またビル居住者のネガティブな気分やストレスレベルを大幅に低下させました。さらに、ワークスペースに植物を1つ置くだけで、従業員の士気が大幅に向上し、同時に福利を促進し、仕事の成果を改善することが明らかになりました。[4]
弊社代表も日々ストレスを抱えながら事業をしていますが、植物とペットのお陰で精神的な健康が維持できています。
実際に弊社の職場で飾っている植物:
ペットによる効果は、こちらの記事をご覧ください:
猫と一緒に働くと生産性の向上が期待できる!ペットフレンドリーな職場環境のメリットとは (metamorphose.co.jp)
**気分向上**
気分向上は、職場における植物の存在が与える心理学的なメリットについての重要な要素です。花や他の植物は自然の美しさをもたらし、見るだけで気分が明るくなります。
研究によると:「窓のない植物があった環境では、対象者は概して、屈託のない気分や高揚感など、中程度のレベルのポジティブな感情を報告しました。また、怒りや恐れなどのネガティブな感情は少なかったようです」。 [1]
さらに、「眺望(本物の自然や美的イメージ)や自然素材(木材など)は、労働環境におけるストレスや怒りを軽減し、労働者がより幸せで健康的だと感じるのに役立つ」とい他の研究結果も証明されています。[3] 自然の風景や美的なイメージは、心を癒し、リラックスさせる効果があります。また、自然素材である木材なども、人々に自然とのつながりを感じさせ、心理的な安定感を与えます。
また、別の研究では、「ラベンダー、ポインセチア、アロカシアの根茎、アップルゼラニウムなど、香りのある植物や香りのない植物が室内にあることで、人間の快適性が向上する」ということが示されています。[5]
**集中力の向上**
快適な環境は集中力を高めることが知られており、花や植物はその助けとなります。
研究によると、
「タスク終了後、植物が存在する被験者は、植物が存在しない被験者に比べ、より注意深く感じられたと報告しました(1~5段階で0.5単位増加)。植物がある環境では、タスク後の注意力のスコアがタスク前のスコアより有意に上昇した(同じく0.5単位上昇、P < 0.01)のに対し、植物がない環境では注意力に変化がありませんでした」。[1]
さらに、最近のCovidパンデミックの際の空気浄化における植物の役割に焦点を当てた記事で述べたように、ゴムの木、イングリッシュアイビー、クモの木などの室内植物が教室での生徒の成績を向上させたという研究結果があります。[5]
**クリエイティビティの向上**
植物の存在は、リラクゼーションと健康向上できることだけでなく、クリエイティブな思考を刺激する快適な環境を作るようです。
2002年の日本人研究者によって行われた研究では、「1つの植物がクリエイティブな課題のパフォーマンスに有意なポジティブ効果をもたらす」ことが発見されました。[2]
**人間関係とモラル向上**
共通の関心事としての花や植物の世話は、職場のコミュニケーションを促進し、チームワークを強化することができます。さらに、チームメンバーの士気向上できることが研究で示されています。
2022年の研究によれば、マインドフルネス実践の一環として自然環境や自然の要素に触れることは、労働者の共感力、気づき、認知的柔軟性、自己管理能力に対するマインドフルネスの効果を高める可能性があります。この効果によって、労働者は前向きな対人関係を築くことができ、自分の組織内での役割を理解し、変化に適応する能力を高めることができます。さらに、ストレスを軽減し、新しい反応のパターンを促進することにも貢献するようです。[3]
先にも述べたように、ワークスペース内に植物を1つ置くだけで、スタッフのモラル向上と幸福推進できるという研究結果があります。[4]
または、2年間の縦断研究では、研究者たちは、バイオフィリックデザインの要素を取り入れた改修されたオフィス小屋に、意図的に植物を導入した場合の影響を調査しました。その研究によると、
「ワークスペースに新たに導入されたバイオフィリックデザインの要素に対する入居者の初期反応は明らかに支持的でした。それを使用した従業員が感じた利点としては、チーム間を含むスタッフ間のコラボレーションの強化、士気の向上、ストレスの緩和などが挙げられました。この縦断的研究は2年間継続中であるが、入居後数週間の反応の初期傾向は、オフィス従業員による大絶賛を示唆していました。要するに、生物親和的に設計されたオフィスは、社会的便益を認識し、協力や指導を含む従業員機能の向上、仕事満足度の向上や士気の高揚といったポジティブな心理的効果につながるという潜在的な結果を、この研究は指し示しています」。 [4]
弊社では、植物の効果もあってか良好な人間関係を維持しています。
モラル的な問題がないのも植物を職場に取り入れているおかげだと思います。
職場環境のメリット: 空気の浄化と湿度の調整
一部の植物は空気中の有害物質を吸収し、酸素を放出することで、職場の空気質を向上させることができます。植物は水分を放出することで周囲の湿度を調整し、乾燥したオフィス環境を改善することができます。
前述のシドニー大学の研究者による研究は、鉢植えの植物が室内の大気汚染を軽減する効果に焦点を当てています。これらの植物は、家具や調度品、コンピューターやコピー機などの機器などから発生する揮発性有機化合物(VOC)や、住人の呼吸によって生成される二酸化炭素を改善する上で重要な役割を果たしていました。さらに、清浄な空気は心臓血管の健康や精神的な敏感さの向上とも関連していることがわかっています。[4]
また、他の研究によると、「植物の光合成はマイナスイオンを発生させ、空気の質を改善する」ことが示されています。さらに、「植物は汚染物質や揮発性有機成分を除去し、温度や湿度を調整する」ことも判明しています。[5]
健康向上
現代の職場では、仕事によるストレスやプレッシャーが日常的に存在し、従業員の心身の健康状態に悪影響を与えることがあります。そこで、最近では職場環境の改善策として、植物の存在を取り入れる取り組みが注目されています。
1998年でも、研究者は植物の存在と健康症状との関係を調査する準実験を行いました。その研究では、植物はかなり大量に導入され、実験では1つのオフィスに合計18の植物が導入されました。研究結果は、「職場環境に植物を加えると、健康症状が平均21%減少しました」。[2]
他の研究によると、エバーグリーン・オイルを樹木から取り出してエアゾル化し、室内空間に注入すれば、森林訪問を再現することができます。 常緑樹が発するエッセンシャルオイルは、「免疫システムの改善とナチュラルキラー細胞の生成に関連している」ようです。[3]
植物の配置に注意するポイント
職場に植物を配置する際には、植物の種類や配置場所、メンテナンス方法などを考慮する必要があります。また、アレルギーや風通しの問題にも注意しながら、従業員の健康と安全を守るよう配慮しましょう。
また、デスクに置く際は、パソコンなど電子機器に水がかからないように注意しましょう。
まとめ
まとめると、職場で植物の存在はストレス緩和とリラクゼーション向上に心理学的なメリットをもたらすことがわかりました。植物は自然の要素であり、環境を癒す効果があるだけでなく、心理的にも安心感や幸福感を与えることが示されました。また、植物の存在は仕事の効率や集中力を向上させることも示唆されています。職場の環境改善の一環として、植物を導入することで従業員の心理的な健康状態を改善し、職場の生産性を高めることができるかもしれません。
現在の時代では、職場での健康増進を真剣に考えることは不可欠であり、職場に花や植物を置くこともその一つです。弊社では、健康経営アドバイザーを活かして、従業員の健康経営への取り組みをしております。当社の健康経営アドバイザーは、従業員の健康状態を理解し、それぞれの健康問題に対応した援助策を提案します。定期的な健康診断や健康相談を行ない、心身の健康状態をよく把握すると同時に、メンタルヘルスのケアも提供します。
環境を改善し、従業員の生産性と満足度を高めることに興味がある場合、認定健康アドバイザーがいる弊社にお問い合わせください。詳しくは、ウェッブページの下にあるチャットボットでお気軽に疑問点を質問していただくか、ご相談の予約を取ってください。私たちの専門家チームがお客様のビジネスをサポートするために常に準備しております。お客様のお問い合わせを心からお待ちしております。
参考資料
[1] Lohr, V. I., Pearson-Mims, C. H., & Goodwin, G. K. (1996). Interior plants may improve worker productivity and reduce stress in a windowless environment. Journal of Environmental Horticulture, 14(2), 97-100.
[2] Bringslimark, T., Hartig, T., & Patil, G. G. (2009). The psychological benefits of indoor plants: A critical review of the experimental literature. Journal of Environmental Psychology, 29(4), 422-433.
[3] Menardo, E., Di Marco, D., Ramos, S., Brondino, M., Arenas, A., Costa, P., Vaz de Carvalho, C., et al. (2022). Nature and Mindfulness to Cope with Work-Related Stress: A Narrative Review. International Journal of Environmental Research and Public Health, 19(10), 5948. MDPI AG. Retrieved from http://dx.doi.org/10.3390/ijerph19105948
[4] Gray, T., & Birrell, C. (2014). Are Biophilic-Designed Site Office Buildings Linked to Health Benefits and High Performing Occupants? International Journal of Environmental Research and Public Health, 11(12), 12204–12222. MDPI AG. Retrieved from http://dx.doi.org/10.3390/ijerph111212204
[5] El-Tanbouly, R., Hassan, Z., & El-Messeiry, S. (2021). The Role of Indoor Plants in air Purification and Human Health in the Context of COVID-19 Pandemic: A Proposal for a Novel Line of Inquiry. Frontiers in molecular biosciences, 8, 709395. https://doi.org/10.3389/fmolb.2021.709395